歌曲

空蝉

試聽 聽全曲

蝉が鳴き止んだ僕ら駆け出した
天気予報はまた今日も外れた
水溜り踏んだ君のローファー
弾けた飛沫さえ綺麗だなって思った
ずぶ濡れのシャツ張り付いて
乾かないまるで君への想い
蝉が鳴き出した僕ら歩き出した
雨宿りを永遠にしていたかった
水溜り避けた僕のスニーカー
どうせ濡れてるのに どうしてなんだろう
君と二人待つバス停で
ほろ苦い青い夏草の匂い
今日も言い出せなかったと
赤く落ちた空へ小さな声で鳴く
耳たぶが火照るいつしか風は吹き止んで
土の中みたいな寝苦しい夜が来る
君が好きだって誰よりも好きだって
声が枯れたって何度だって叫んでいたい
窓辺に立って口にしてみたって
夏の夜の雨の音に掻き消されていく

蝉が抜け出した殻を見つめていた
汗を拭って立ち止まる君が
カバンから出した同じレモンティー
そんな偶然さえ運命だと思った
細いストロー噛み締めた
横顔は甘酸っぱくて苦い

今日こそ言いださなければと
長く伸びた影に 僕は手を伸ばす
指先が触れる 気づけば二人向き合って
羽化したみたいな 心で僕は告げる

君が好きだって誰よりも好きだって
声が枯れたって何度だってここで叫ぶから
君が好きだって本当に好きだって
夏の夜の雨の音に 掻き消される前に 答えを聴かせて